わたつみ

「ナァ~~ギッ♪!!」

ドンッ!


背中に強い衝撃が走り、俺はうずくまる。

「…っいってぇ!! ルカ…お前は…いつも人の背中叩かないと、近寄ってこれねぇのかよ!! 馬鹿力女!」


覗き込むルカに早口で怒鳴る。―だが、伊達に10年も幼なじみをしてきた訳ではなく、ニコニコ微笑みながら落ち着いた口調で言う。


「ん? 誰がか弱い美少女。ですって?」

涼やかに
冷静
笑顔で…

固く拳を握らせている。


「アハ… う…うっそでぇ~す…」

「そ。じゃ、帰ろ~♪」

鼻歌聞かせながら、上機嫌に前を歩く。
ルカは10年前に俺の住んでいる『第4ブロック』に越してきた。

初めて会った時、両親の後ろに隠れていた俺に、ガキとは思えない微笑で
『…久しぶり。だね』


と、言ってきた不思議な奴だった。
(今振り返っても、会った覚えはないけど…)

何故だか… 初めてルカに会った時、俺は泣きたくなった。

――そして、俺は心で呟いた。


 『……すまなかった…』