いつもより30分程早く学校に
着いていた。まだ2、3人しか
来ていない教室の窓から薄暗い
外を眺める。


昨日の母の悲しい顔が何度も
莉亜の頭の中をよぎる。


けどこの時の莉亜にはまだ母の
気持ちなどわかってあげる余裕も
なく、今まで期待して頑張って
きたことにだんだん怒りを感じ
はじめていた。

今まで莉亜は甘えて育てられた
父も母もとても優しく、二人の姉もすごく莉亜のことを
可愛いがってくれていた。そんな仲のよかった家族の関係が
崩れていくのが莉亜は恐くて
たまらなかった。


・・・ボーッと外を眺めていたら
いつの間にか教室の中が騒がしく
なってきて、いつもの朝のように
一日が始まった。


「莉亜!莉亜ってばぁ」
隣の席の親友なっちゃんが莉亜に
話しかけてきた。
「莉亜?顔色悪いよ。大丈夫?」

「・・・うん、平気」
親友に心配をかけまいと莉亜は
作り笑いでなっちゃんに
そう言った。


朝のホームルームが始まった。
いつものように担任のタバコ
やけしたような低音のガラガラ
声が教室に響く。


莉亜は放課後に昨日の出来事を
担任に話すつもりだった。