かずちゃんは莉亜のお腹にそっと手を置いた。


「超チビはいなくなっちゃったけどずっとオレたちの子だよ。ずっと育てていくんだっ。オレとお前で・・・」


かずちゃんが泣いている。
いつも笑っているかずちゃんの優しい目から涙が溢れでてくる。

必死に涙を止めようとしてるけど溢れてくる。


莉亜はそんなかずちゃんの姿を見て胸が張り裂けそうになった。


「離れちゃいけないんだ。素直な気持ちのまま生きていこう。超チビが命をわけてくれたんだ。その分二人でしっかり前を向いて生きていこう・・・」



かずちゃんは涙を拭いながら莉亜にそう言ってくれた。


こんなに愛し合っているのに離れちゃいけない。
ずっと手を繋ぎ生きていきたい。

愛していきたい。

愛してもらいたいから。



愛する我が子だからと言ってかずちゃんはあの子に名前をつけてくれた。


これからも広い海のように広く美しい気持ちで育てていく・・・

そう言って“育海”と。


ずっと忘れない。
大切な1つの命があったことを。

私の中で生きていてくれた事を
そしてあの温もりを絶対に忘れないからっ。