海を見つめながら大塚さんは話してくれた。

「なんで俺だけを残すんだって悔しかった。残されたものの苦しさは秤しれないものでした。だから1分1秒も無駄には生きたくない。残された分二人の兄弟の為にもいっぱい楽しい事も辛いことも全て大事に生きていこうって思ってきました。
今の若い子達は命のありがたみを感じていない・・・生きることがどんなに幸せなことかを・・・
水瀬さんが僕に話してくれた時、必死に生きてきたことが伝わりました。
だから自分で気付かずに人に優しくできるんですよ。きっと
・・・缶コーヒー嬉しかったもん
だから楽しく生きなきゃ」
莉亜は涙が溢れた。

人の死って言葉にはできない程悲しい。

大切な兄弟を亡くす事を想像したら涙が止まらない。
もし莉亜の大切な姉達や両親を亡くしたら・・・と考えたら大塚さんの苦しみを考えたら自然に涙が溢れた。

そして莉亜が自分を見失い命を捨てようとしたとき、それを見た姉はきっと悲しかっただろうと思うと心が締め付けられた。

自分がした事を凄く悔やんだ。
そして中絶したあの子・・・
生きたかったよね・・・

苦しかったよね・・・

ごめんね。本当にごめんね。