「おはようございます」



私は、いつものように、椅子に座る。



月曜日とは、憂鬱だ。



私が勤めているのは、王手玩具メーカー本社。


私の入りは8時。



既に、沢山の社員の方々が、出社している。



そんな姿を見ながら、思い浮かぶのは、昨日のこと。



あの人は一体誰で、何故私の名前を知っているのか。



そして、何故、こんなにも懐かしいのか。



あの人は、謎ばかりだ。



「兵藤さん、今日も可愛いね!」



ふと、顔を上げると、そこには営業課の横田さん。



私が入社したときから、話し掛けてくれてはいるが、正直気持ち悪い。



愛想だけを返すと、それに満足したのか、彼はフラフラとエスカレーターへ向かう。



不思議な人だ。



「彌さんって、大変ですねー」



今年入社してきた同じ受付嬢の、安田 美紗が、呆れ顔を私に向ける。



「どうして?」



「だって、彌さんって熱狂的なファンが多いじゃないですか」



そう言う彼女にも、ファンはいるのだが。



彼女のような甘フェイスは、私は憧れる。



「安田さんにだって、ファンはいるでしょう?」



それも私より遥かに大量に。



すると、彼女は満更でもない表情を浮かべた。