冷静を取り戻し、男と対面する。



…どこかで見たことあるような。



「すいません。
まさか、起きると思わなくて」



やっぱりクスクスと微笑む男。


「起きるとか、起きないとかの前に、不法侵入です」


それなりに力強く、目力を加えて言ったつもりだが、相変わらず、クスクスと笑っている。



理解不能な男だ。



「僕は、法律とか好きじゃないです」



「好きとか、嫌いとかじゃないでしょ。

守らなくちゃいけない事なんだから。

貴方、犯罪者よ?」



もはや、ため息すら出る。


この人には、普通の話しが出来ない気がする。



そんな私に、更に追い撃ちを掛けるかのように、男は畳へ寝転んだ。



しかも、遠慮一切なしの、大の字ときた。



これには、さすがに言葉を失う。



「なに黙ってるの?

ねっころがると、楽だよ?」


クスクスと笑いながら、私を見つめる男。



楽なことなんて、私が1番よく知ってる。



だって、私の生き甲斐だ。


……だけど、時と場合というものがあるだろう。



「もう、遠慮してないで、寝転びなよ!」



そう言われた瞬間、私の身体は大きく傾く。



そして、大きな衝撃とともに、私は彼の横に、寝転ぶ形になった。