「よかったね。これでもううるさく言わなくて済むよ。」 そう言って僕は、母親の口から包丁を抜き取った。 思いのほか刺さりが良く抜くのに手間取った。 父親のほうは、知らない間に移動して姉貴を抱きかかえてた。 ふーん、なんだここにもちゃんと愛情はあったのか。 けど、もう遅いよ。 父親は、抱きかかえたまま僕を睨む。 「そんな子に育てた覚えはないぞ。」