あの後、藤井と遥斗くんは、静まり返り、話し掛けんなオーラを黒々と出して、そりゃもう怖かった。
だが、その理由があたしには分かってしまった。
「君たちあたしの事がすきなんだろ!?」
「クズ」
「カス」
「なんですって?」
この2人は酷すぎる。
「十夜くん、あの2人酷いよね。」
「いや、お前が悪くね?ていうか俺もクズでカスだと思うよ、お前の事。」
「ひでぇぇ!初対面だよね!?いけってそういう生き物なの!?いや、玲くんは超優しいぞ!」
「…おいおい、クソカスの上に鈍感まで付けてやろうか?あの2人をこれ以上おこらせんなよ。」
え?あたし今なんか悪い事言った?いや、言ってない。身に覚えは無いぞ!あたしが犯した罪は『あーちゃん誘拐』だけだ!
「雫ちゃん、それ十分犯罪だよ。」
さっきまで無言だった遥斗くんが言った。
「黙秘します。それより遥斗くん、十夜くんと、十夜くんにそっくりなその子の名前は?」
「あぁ、コイツな。十夜の双子の弟の一夜。」
「え?嘘、なにそれ、超可愛い設定じゃね?やべぇそこの一夜くんをあたしに寄越せ。さぁ早く。」
「その内身代金なんか要求されそうな勢いだよね。」
「藤井ってそういう嫌味しかいえないの?…可哀想「死ねば?」」
この子ったら簡単に死ね、なんていうんだから困っちゃうわ!まったくもう…。
よし、決めた。スルーだ。あたしは十夜くんと一夜くんを誘拐してさっさと教室に行こう。この子達制服違うけど。
そうだ、『この子達転入生デース』とか言っちゃえばばれないかも。
「その見え見えの阿呆臭い作戦やめてくれる?」
…やだもう。やっぱりイケメン=毒舌なの?そうなの?誰かお願い、天使を呼んで。

