終わらない冬の日

今日は少し肌寒さを感じるような寒さだった。

今さっき瑞貴の家についた。
未だに現実だと思っていないので、家の中に入るのが辛い。


母さんに座敷に連れて行かれると部屋の真ん中で、布団で寝ている人がいた。

紛れもなく瑞貴だった。
私は瑞貴の手に触れた。
こんなに冷たい瑞貴の手を触ったのは初めてだ・・・

凪沙「本当なのに、死んだ瑞貴を見てるのに、まだ 夢みたい・・・信じたくないよ・・・」
私はまた涙が溢れてきた。
母さん「辛いだろうけど受け止めなさい、現実だから ・・・」

嫌だ、受け止めることなんて出来ない。
まだ悪い夢をみてるだけなんだ。


君はまたそうやって無かったことにしようとするね。
いい加減その思い捨てたらどだい。

アンタ誰?
ついに幻聴まで聞こえるようになったなんて ・・・。

やだねぇ、あの男の子がひかれる前にも何回も忠告してたのに。
もう忘れたのかい?

あぁ、あのばあさんか ・・・

あの事故は現実だ。
分かってるだろう?受け止めなさい。

分かってるよ。現実だよ。分かってるけど信じたくないんだ。

じゃあ、本当の現実を見せてあげるよ。


すると風ヒュウと駆け抜ける。
その直後瑞貴顔に被せてあった白い布が飛ぶ。

凪沙「あっ・・・」
それに気づいて布を取りにいく。
もう一度被せようとして瑞貴の顔を見てしまった。

凪沙「・・・、顔は見ないでおこうと思ったのに・・・」
真っ青になっている瑞貴の顔
無表情の瑞貴

こんな顔、はじめて見た・・・。

また涙が溢れてきた。


凪沙「うっ・・・、瑞貴・・・」
私は瑞貴の右手に触れようとして布団の中に手を入れて瑞貴の手を捜す。
ところが、見つからない。

凪沙「え・・・?あれ・・・?」
肩から引き上げてみようとし、肩を持つと何か違和感がある。
瑞貴の腕ってこんなに軽かったっけ?
私の腕よりずっと軽い。
明らかに変だ。


良く見るとひじから下が無い。

それだけでないことが分かった。

良く見ると顔も少し歪んでいる。
足の骨がズタズタになっておかしな形になっている。
しかも右足は無い。

あまりにも残酷な姿に変わっていた瑞貴を目の当たりにして言葉も出なかった。
さっき触れた手は左手だったんだ。


どうだい、分かっただろう?
現実なんだよ。
泣いたらいいって思ってちゃいけないよ?


分かってるようるさいな。
泣く時間くらい頂戴よ。

瑞貴がこんな姿になってるなんて思ってもみなかったんだから。



奇声をを上げるかと、自分でも思っていた。
でも奇声でも泣き声でもない。


凪沙「あああああああああああああああああ」



自分でも分からなかった・・・。