再び足蹴にされ、強かに身体を壁にぶつけた。
でも平気だ、この程度なら全然平気。
辺りをざっと見渡して、何か頼りになりそうなものは、と探る。
「そう苛苛するな。…慰みもんには、上等だろ」
ああ、探るまでもなかった。
奇襲というのは非常に有効な手段。背後から突然現れたり、あるいはか弱い女のフリをする。そうして相手の油断している隙をつき、相手を仕留める。実際、私も何度となくそんな手口に引っかかった。まさかとは思うじゃない、可愛い後輩を利用するなんて。
両足に力が入ることを確認して、一気に立ち上がり、目の前の男の腰にある刀を奪い取る。鞘なんて不要だ。刀の柄を握って、突然のことに目を丸くしていた男を蹴飛ばしながら鞘から抜きさって、四人から数歩距離をとる。
「っ女!許さねえぞ!」
「殺してやる!」
ボキャブラリーが大層貧困であらせられるらしい彼らは、四人まとめて私に刃を向けた。訂正、一人は私に刀を奪われて、歯軋りしながら睨みつけてきているだけだ。奇声を発しながら男たちが切りかかってくる。しかし、それだけだ。単純に一直線に。数を生かせてない。
「クラスの女子のほうが、まだうまく立ち回るわ」
団結した女子って、とても怖いの。
