「京だよ。京の都。そしてここは壬生村、…伏見の上のほう」
「きょう、」
京。
京のつく場所なんて、数えればいくらでもあるだろうけれど、地名を聞く限り、ここは、京都。
「天皇が、いる…?」
「ああ、ここから御所は距離はあるけどね」
今、天皇陛下が住んでいるところといえば、東京だ。
しかし、過去、お上のいるところは、京都。
確かに私は、東京に居たはずだ。高層ビルが立ち並ぶオフィス街。きらきらとした夜景が目障りな屋上。
「うそ、」
信じ難い現実の前に、どんどん証拠ばかりが積みあがっていく。
どれもこれも、論破できない証拠ばかり。
まるで、これが現実だ、と笑われている。
