長い廊下を歩いて、自室の扉の前に立つ。


「ハァ…安岡のヤツ………」


ため息をつき、扉を開けようとした時だった。


「――――…統牙!」


後ろに1つに結んだ茶髪をなびかせて、吹雪がこちらに走って来た。


「おま……どうした?」


「あのね…言いたい事があって……」


立ち止まり、呼吸を整えた吹雪の顔は、微妙に赤くなっている。


それだけでちょっとドキッとしたオレは、どうしようも無いバカかもしれない。


「ありがとう……統牙」


―――えっ?


「え?オレ…お前にお礼言われる様な事、してないけど」