「あはは、冗談だってー。半分本気だけど」
そう言ってケラケラとひとしきり笑った後、彼は言う。
「はやくおいで。せっかくのご飯が冷めちゃうよー」
誰のせいだよ。
そう思いながら、私も言う。
「うん。今行くよ」
止められない期待と言いようのない不安が、胸の内を渦巻く。
気を抜けば溢れてしまいそうなそれを必死に押し留めて、私を待ってくれているらしい彼のもとへと、一歩踏み出す。
──私の手料理が、彼の口に入るまであと少し。
これから、彼が私の作った料理を食べることによって、それが彼の体内で生きる糧となる栄養として取り込まれて、そうしてそこから作り出されたエネルギーを消費して、彼は私に笑いかけてくれるのだろう。
その過程を思うと、胸がいっぱいになる。
理科なんて得意じゃなかったから、果たしてその知識が正しいのかは自信がないし、こういう思考が一種の狂気じみていることも自覚している。
……でも、その時を思うとたまらなくなる。
私が、彼の存在をつくっているみたいで、嬉しいのだ。

