会長は来た道を戻っていた。 もしかして、送ってくれたの? そんなことが頭に浮かぶ。 辺りは薄暗いけど、真っ暗と言うわけではない。 少し見えにくいなってくらいで。 なのに、会長は女嫌いにも関わらず送ってくれた。 会長がくれたオレンジジュースを握りしめる。 「会長は本当は優しい人なんですね」 ただの気まぐれかもしれないけど。 あたしは、見えなくなるまで会長の後姿を見送った。