廉の部屋の前で一度止まる。


話しかけるだけで、心臓バクバク。


深呼吸してドアを開けようとしたとき。



「……そうなんですよ。信也さん」



信也って、あたしのお父さんの名前だ。


じゃあ、電話中かな?


また後でこよう。


そう思って、部屋に戻ろうとしたときに、聞こえてしまった。



―――「……紗和がいると困るんですよ」



えっ……


あたしの聞き間違い?


でも、確かに廉の声だった。


あたしは廉にとって迷惑だったんだ……


もう好きになっちゃったじゃん。