「でも、俺は隼人を恨んだりしてへんで?」
話し終わった桜太くんは、とても切なそうだった。
「むしろ、感謝してんねん」
想像もしてなかった桜太くんの過去を聞いて、なにも言えなかった。
「あのまま俺の横にいても、麻衣は幸せになれへんかったしな」
少し悲しそうにそう言って笑った桜太くん。
「そんなことない!」
声にしたほうを向くと、麻衣が立っていた。
「麻衣……」
いきなり出てきた麻衣に戸惑う桜太くん。
「本当にそう思ってたの?」
「今のほうが幸せやろ?」
「でも、あたしのせいで桜太が……っ」
泣き出す麻衣。