「ちょっと!」


「お前が早く乗らないからだろ?」



廉は、あたしのことなんて知ったこっちゃないといった様子。



「にしても無理やりすぎ!」


「分かったから。黙れ。寝る」



そう言うと、あっという間に寝てしまった廉。



「一言くらい謝りなよ」



あたしは廉に向かって、そうつぶやいた。



「廉様は、毎日夜遅くまで会社の仕事をこなしておられますから」



あたしのつぶやきを聞いていた運転手さんが言った。



「でも、廉って社長じゃないんですよね?」