「なんでそれ持ってんだよ……!」 「なんでって、紗和ちゃんにもらったからだけど。ねぇ、紗和ちゃん?」 当たり前のように言う恭くん。 あたし、あげてない……よ?」 だって、廉にしかあげてないもん。 「覚えてないの?あの日のこと」 あの日? 「紗和ちゃんが引っ越すときだよ」 あたしが、引っ越すとき…… 「俺に、りんご飴くれたでしょ?」 あの日、確かに恭くんは見送りに来てくれてた。 そのとき、あたし……