西園寺さんはポツリと言った。 「料理は、心……忘れてましたわ」 そして、顔を上げる。 「無理やり申し訳ございませんでした」 西園寺さんは、一度頭を下げてから、その場を去った。 「紗和」 「あたし、勝ったの……?」 「紗和の勝ちだ」 また涙が溢れてきた。 「……よかっ、た……」 あたし、このまま廉の彼女でいられるんだ。 本当によかった…… そして、ずっと廉の腕の中で泣き続けた。