紗和が去ったあと、家が静かになったことに気付いた。


俺にとって、それほど紗和の存在は大きかった。


……最後に伝えたい。


紗和の笑顔がもう一度みたい。


“廉”って呼んでほしい。


そしたら、本当に聞こえてきたんだ。


「廉!」って。


びっくりして、ドアを開けてみると、出ていったはずの紗和がそこにいた。



「紗和、お前どうして……」


「……好き」


「えっ?」



なにを言ってるんだ?



「あたし、また廉のこと好きになっちゃった」



紗和が、俺を好き?