信也さんから連絡があって、もう会社が立て直ったから紗和も戻ってきてもいいって。


正直、俺は紗和にいてほしかった。


でも、それは俺だけの考えであって、紗和はそうは思ってないだろう。



「廉はどうしてほしい?」



って聞かれたから、



「紗和が帰りたいなら帰ってもいいと思う」



って、言った。


ずっと家族と過ごせなくて、やっぱり家族といたいかなって思ったからだ。


でも、まさか電話のことを紗和が聞いてるとも思わなかった。


このときは、紗和が誤解してると思ってなかった。


別れのとき、やっぱり残ってくれないかなって思ったけどそう簡単にいかないものだ。


ありがとうって言われて、これで本当の別れなんだと思った。


だから最後に、りんご飴を渡した。


……ほんのすこしの期待を寄せて。