フクロウの声

「なるほどな。」
 
山崎は何かに納得したように手紙に火をつけた。
薄い紙が炎をあげることもなく端から黒くなっていく。

「われが字ィ読めへんことは俺が報告しておく。
 以後、俺が伝えることになるやろ。」
 
山崎は薬箱を肩にかけ立ち上がり、座敷を出て行った。
 
廊下でおかみと言葉を交わす声が聞こえる。
打って変わって愛想の良い山崎の声。

器用な男のようだ。
 
皿の上で燃える手紙はあっと言う間に灰になっていった。
おれとマオリはそれが燃え尽きるまでじっと見ていた。