フクロウの声

顔の血をぬぐいながらマオリはゆっくりと立ち上がって、
男たちをにらんだ。
 
死神を宿したマオリの金色の眼光に、
男たちが一瞬ひるむ。

おれは容赦なくマオリの右手に向けて羽をはばたかせた。
 
布団の上で転がり苦しむ男に、刀を突き立てる。
そのまま刀をひねる。

男の断末魔と共に、飛び出した血が天井めがけて噴き上がる。
 
マオリに刀を抜かせると一層、血飛沫は飛び上がり、
男は数度けいれんしたのち息絶えた。

血のつたう刀を一振りして、低く脇に構える。
 
部屋に明かりはないが、
フクロウの目を持ったマオリには昼間のようにはっきりと
男たちの姿が見えた。

恐怖にうろたえる目もはっきりと見て取れた。

「うわあああっ」
 
声をあげたのはマオリだった。
マオリはおれに動かされるままに男たちに向かって突進した。
 
慌てて防御に入った男の腕を、刀もろとも斬り上げ落とす。
悲鳴を聞く間もなく、振り上げた刀をおろし首を斬りつける。
 
仲間の血を浴びて、動けなくなっている男たちを、
おれは次々と斬っていった。
 
全員分の血で床が池のようになるまでさほど時間はかからなかった。

おれは血を浴びるごとにマオリの体の中で思うように動くことが
できるようになっていく。
 
おれは自由だ。
 
男たちが息絶えていく中でおれは歓喜にわいた。
男たちから青白い魂が抜けて上っていくのが見える。