最初は夜目がきくといっても色まではわからないだろうと思っていたが、
それは錯覚ではなかった。

毎日畑で太陽にさらされてきた真っ黒なマオリの肌は、
透き通るように白くなっていた。

「神様だか・・・?」
 
マオリは呟くようにおれに言った。
死神と呼ばれるほうが多い。

おれは人間が死ぬところが好きなんだ。
そしてその魂を喰う。
 
おれはにやりと笑って
死神と呼ばれるに相応した表情ですごんでみせた。

「おらの魂も喰えばよかったでねか。」

マオリは視線をはずして、諦めたように言った。
どうやら運命を受け入れる準備ができてきたらしい。

ああ、おまえに飽きたら、最期に喰わせてもらおう。
 
夜が明ける前に、おれとマオリは山をおりた。

おれはわくわくしていた。
マオリの寂しさ、不安、それと遠くから死のにおい。
 
この哀れな少女がこれから辿る運命が、尽きるその時まで共に。