夜の闇に眩しいほど輝く白い羽。
金色と漆黒の大きな鋭い瞳、同じく金色の鋭いくちばし。
がっしりとした足とその先の金の爪。

おれの姿をマオリはまじまじと見つめるしかなかった。

おれが言うのもさまにならないが、
おれの姿を見た人間は皆、死神と呼ぶのを控えた。

ただ、神と呼んだ。

見えるだろう。
おれと同じように見えるはずだ。

おれはマオリを呼び起こすように語りかけた。
そしてふわりと飛び上がって、
遮っていたマオリの視界からどいてやった。

山の中腹にある神社からは村を見下ろすことができた。

山に近づくことは禁忌とされてきたので、
マオリは生まれて初めて自分の生まれた村というものを外側から見た。

マオリの両手で包み込んでしまえそうなほど村は小さかった。

しかし、その夜の闇に沈んだ静かな小さな村に詰め込まれた田畑や
村人の家々がはっきりと見える。

遠くに見えるはずなのに恐ろしくはっきりと見える、
その異様な風景にマオリは息を飲んだ。

おまえはおれの目を手に入れた。

おれはマオリに教えてやった。

見えるか、あすこがおまえの住んでいた家だ。

おれは翼で指示し、低く旋回した。
マオリは目を見開いて見ている。