二人の様子を見て老婆は優しげに笑って、
行李の中に刀を戻した。
「あ、あら、まあ・・・。」
老婆の声に兄弟はぱっと立ち上がる。
「何?おばあさま何?」
「おれにも見せて。」
「ふふふ、いいものがあった。」
行李の中から老婆が取り出したのは竹とんぼだった。
「そおれっ。」
老婆は縁側に出て、
空に向かって竹とんぼを飛ばした。
「わあ!」
兄弟は声をあげ、
竹とんぼが空に吸い込まれていくのを見上げた。
山々から押し寄せる蝉の大合唱に兄弟の声がかき消される。
太陽へとむくむくと膨れ上がる入道雲へ向かって竹とんぼが飛び、
放物線を描いて庭へ落ちた。
兄弟は我先にと庭へおりて竹とんぼを拾いに行く。
目を細めて、老婆はそれを見つめる。
「おにいが叩いたー。」
弟が泣きながら、老婆の元へ戻ってきた。
「だって栄治が横取りしたんだ。」
「二人とも仲良くしなくては。」
泣きながら膝にしがみつく弟の頭をそっと撫でる。
行李の中に刀を戻した。
「あ、あら、まあ・・・。」
老婆の声に兄弟はぱっと立ち上がる。
「何?おばあさま何?」
「おれにも見せて。」
「ふふふ、いいものがあった。」
行李の中から老婆が取り出したのは竹とんぼだった。
「そおれっ。」
老婆は縁側に出て、
空に向かって竹とんぼを飛ばした。
「わあ!」
兄弟は声をあげ、
竹とんぼが空に吸い込まれていくのを見上げた。
山々から押し寄せる蝉の大合唱に兄弟の声がかき消される。
太陽へとむくむくと膨れ上がる入道雲へ向かって竹とんぼが飛び、
放物線を描いて庭へ落ちた。
兄弟は我先にと庭へおりて竹とんぼを拾いに行く。
目を細めて、老婆はそれを見つめる。
「おにいが叩いたー。」
弟が泣きながら、老婆の元へ戻ってきた。
「だって栄治が横取りしたんだ。」
「二人とも仲良くしなくては。」
泣きながら膝にしがみつく弟の頭をそっと撫でる。

