沖田はよろめきながら立ち上がった。

「どうして・・・。」
 
縁側から下りる。

「これは・・・まぼろしなのか。」
 
ふらふらと今にも倒れてしまいそうな足取りで、
沖田はマオリへ近づいた。
 
すり足で頼りなく歩む沖田は、
つんのめって転びそうになる。

マオリは思わず走り出てそれを支えた。
 
枯れ枝のように軽く乾いた沖田の体は
マオリでも十分に支えることができた。

「マオリ・・・なんだね。」
 
沖田はマオリに抱きかかえられるようにしたまま、
マオリの背中へ腕をまわす。

「沖田さん、マオリです。沖田さん。」
 
マオリは泣きそうに声を震わせながら沖田の名を呼んだ。

「すまない、君を置いてきぼりにして。」

「やっぱり沖田さんの元へ来てしまいました。」
 
マオリは寄りかかる沖田の体を離し、
沖田の胸に手を当てるようにして双眸を向けた。

「これ、覚えていますか。」
 
マオリは袂から竹とんぼを取り出した。