マオリ、沖田を見つけた。
 
マオリはむくりと起き上がり、おれを見た。

嬉しさよりも戸惑いのほうが大きいようで、
困ったような泣きそうな顔をしている。
 
それからまた数日、
マオリは膝を抱えて江戸の町を見下ろしていたのだから、
刀を振っている時とはまるで別人のいくじなしである。
 
マオリは数日後、思い立ったように森に入り、
泉で体を洗った。
 
すっかり女らしくなった体を冷たい水に沈めていく。

華奢な体にほどよく筋肉がつき、
その上にぱんと白い肌が張る。

陶器のようにつるりとした緊張感を持っている。
ただ一つ、八の字に背中についた痕が痛々しい。
 
顔を擦ったマオリはざぶんと頭まで水に浸かった。
水面にぶくぶくとあぶくが浮かんで、
マオリの艶々した黒く長い髪が広がる。
 
勢いよく水面に顔を出すと、岸にあがり体を拭いた。
 
女物の桃色の着物の帯を締める。
町の女たちのように髪を結うやり方は知らないので、
いつものように頭の後ろで一つに結う。
 
大きく深呼吸して、マオリは森を出た。