土方の指揮する新撰組は、
意向の見えない上層部を無視して果敢な抵抗を続けたが、
大局をひっくり返すことはもはや不可能であった。
 
追い討ちをかけるかのように
味方であった藤堂藩が西軍に寝返り、
淀川対岸から砲撃してくる事態となった。
 
東軍の兵力がまだ健在であった大阪城へと
東軍は撤退を余儀なくされた。

しかし、そこで全軍を絶望に陥れる事件が起こった。
 
東軍の大将である徳川慶喜が、
深夜幹部数名と共に船で江戸へと戻ってしまったのである。
 
これには土方も言葉を失っていた。

無言で海を睨む土方に、
マオリもなんと言葉をかけていいのかわからない。

こんな時、沖田であればどうしただろう。
マオリはただ刀を握り締めた。