フクロウの声

まだ、死んではならねえ。
 
マオリは刀を構え直した。
 
死神よ。
 
初めて、自らはっきりとフクロウを呼んだ。
 
死神よ、私に、力をー。
 
再び、砲撃の爆音がマオリの近くで炸裂した。
辺りが一瞬にして闇に包まれる。
マオリの背中に焼き付けるような痛みが走る。
 
低くかがんだマオリは、かっと目を見開いた。

金色の光が宿り、両翼を広げるように両手を広げた。
爆風に軽い体を乗せ、マオリは風を掴んだ。
 
高く飛び上がる。
 
敵陣の砲撃手から見えたマオリの姿は
獲物を狙うフクロウのようであった。
 
土埃の中から舞い出たマオリはそのまま砲撃手の首をはねた。

一瞬で首が飛び、血柱があがった。
雨のようにざばっと血が落ちる音が地面にばらけ落ち、
マオリは着地した体勢からゆっくりと立ち上がった。

砲撃を潜り抜け、
敵陣へ斬りこんだのはマオリが最初だった。
 
立ち上がったマオリの背中めがけて、
敵の志士たちが刀を振り上げて襲い掛かる。
 
マオリは片手で一撃を薙ぎ払い、
そのまま相手の懐へ刀を突きたてる。

マオリが体を引くと同時に志士は倒れ、
続いて襲ってくる敵を袈裟斬りにする。
 
マオリはそこで止まることなく、
反転し砲撃台を囲む男たちを次々に倒していった。