フクロウの声

マオリは土方が近藤不在の新撰組の指揮を執る伏見奉行所へと向かった。
 
時は、政治の中枢を幕府から朝廷に戻すという
王政復古の大号令の発令により、
徳川方は京都での拠点を失っていた。

この伏見は幕府軍にとって戦略上、
絶対の死守を示唆する場所となっていた。
 
会津藩らと共に新撰組は伏見に駐屯し、
幕府を倒そうとする西軍である尾張、長州、薩摩、
土佐と徳川方は伏見でにらみあうかたちとなった。
まさに一触即発であった。

「土方さん、只今到着いたしました。」
 
マオリは近藤を欠き、急がしそうに指示を出す土方を捕まえ、
強引に挨拶をした。

「おまえは・・・ここで何してやがる、総司はどうした。」
 
マオリをみとめた土方は目を丸くし、
隊士たちに出す厳しい声のままで土方はマオリに言った。
 
マオリは片膝を着き答えた。

「私は、沖田さんの代わりにここへ来ました。
 ここで、戦いに加わらせてください。」
 
強い決意を持って、マオリは言った。

「私は、選んだんです。
 沖田さんの代わりに戦って、沖田さんの大切なものを守ります。
 そのために戦います。」