悪い知らせが届いたのは夜だった。
 
沖田は届けられた手紙に書かれた文字を目に入れるやいなや、
寝巻き姿のまま布団を跳ね除け、
愛刀を掴み部屋を出ようとした。

「どうしたんですか。」
 
マオリはその激昂ぶりに驚き、
思わず出て行こうとする沖田の両肩を正面から抑えた。

「近藤さんが・・・近藤さんが・・・。」
 
沖田が怒りに震えながら近藤の名を口にした。

「近藤さんに何かあったんですか。」
 
病に冒されているとは到底思えないほどの力で
沖田はマオリを払いのけようとする。

「落ち着いてください。興奮しては駄目です。」
 
沖田の青白い顔がみるみるうちに赤くなっていく。
急に頭に血が上ったせいか、喉元からいやな音がした。
案の定沖田は激しく咳き込み、
ふらふらとマオリから離れ、口元を押さえた。

「沖田さん!」
 
マオリはよろめく沖田を支えた。
沖田はマオリの腕を掴んでかろうじて踏みとどまった。

「近藤さんが・・・撃たれた・・・。」
 
ずるずると力なく、沖田はその場に座り込んだ。

「え・・・。」
 
崩れていく沖田は、
まるで砂のようにマオリの両腕から離れた。