あちこちで激闘が繰り広げられているものの、
人数が違いすぎる。

逃亡者が出ないように壁を作っている一陣に、マオリは加わった。

フクロウもマオリの肩を離れて、
家屋の屋根にとまり、高みの見物を決め込んでいる。
 
沖田は藤堂の首もとめがけて突きを繰り出した。
 
とっさによけた藤堂はすぐに体勢を立て直して、
二度目の突きを刀で弾き返した。

「やめろ!総司!」
 
永倉が沖田と藤堂のもとへ駆け寄った。

「新八さんは下がっていてください。」
 
総司は息をあげることもなく永倉を制した。

「新八さんまで斬ることになりますよ。」
 
剣閃が散って、お互いに間合いの外に出た。
沖田は素早く反転し、再び突きを繰り出した。

「いいんだ。新八さん、手を出さないでくれ。」
 
沖田の突きをまたしてもかわしながら藤堂は叫んだ。

「総司、おまえと本気でやるのはいつ以来だろうな。」
 
藤堂は刀を中段に構え直して沖田に言った。

「さあね、忘れてしまった。」

「もう新撰組は変わっちまった。どうしてそれがわからないんだ。」
 
沖田は答えずに、じりじりと間合いを詰めた。

「近藤さんも、土方さんも・・・」

「余計なおしゃべりは舌を噛むよ、平助。」
 
沖田はいっきに藤堂の手もと目掛けて刀を突き出した。