「見事だ。」
背後から永倉が現れた。
おれは空に上っていく伊東の魂を見送ってマオリの中から出た。
マオリは懐から懐紙を取り出して血のついた刀を拭った。
「なるほどな。土方さんの目にとまるわけだ。」
目を見開いたまま絶命している伊東を確認すると、
永倉は冷たく答えた。
「おまえら、運べ。」
永倉が率いてきた新撰組の隊士たちが、
伊東の死体を運ぶために近づいてきた。
マオリはその輪から外れて、伊東が運ばれていくのを見ていた。
「伊東さんは頭のいい人だった。」
永倉はマオリに向かって言った。
「そうですか。」
マオリはなんの感情も感じられない声色で返事をした。
「斬った相手のことを考えることはないのか。」
返り血一滴浴びずに立っているマオリの姿を
永倉は痛々しそうに見つめた。
「ありません。必要でしたか。」
「いいや、そんなこと考えていたら斬られるよな。」
「斬れと言われたので斬ったのです。私は。」
マオリは永倉をまっすぐに見つめた。
その瞳は責めるようだった。
背後から永倉が現れた。
おれは空に上っていく伊東の魂を見送ってマオリの中から出た。
マオリは懐から懐紙を取り出して血のついた刀を拭った。
「なるほどな。土方さんの目にとまるわけだ。」
目を見開いたまま絶命している伊東を確認すると、
永倉は冷たく答えた。
「おまえら、運べ。」
永倉が率いてきた新撰組の隊士たちが、
伊東の死体を運ぶために近づいてきた。
マオリはその輪から外れて、伊東が運ばれていくのを見ていた。
「伊東さんは頭のいい人だった。」
永倉はマオリに向かって言った。
「そうですか。」
マオリはなんの感情も感じられない声色で返事をした。
「斬った相手のことを考えることはないのか。」
返り血一滴浴びずに立っているマオリの姿を
永倉は痛々しそうに見つめた。
「ありません。必要でしたか。」
「いいや、そんなこと考えていたら斬られるよな。」
「斬れと言われたので斬ったのです。私は。」
マオリは永倉をまっすぐに見つめた。
その瞳は責めるようだった。

