フクロウの声

鞘の中で速さを増した刀が伊東の胴めがけて放たれる。
 
伊東は後ろに倒れておれの一撃をかわした。
おれはすぐに連撃を繰り出す。
 
倒れたまま転がって起き上がった伊東めがけて、
上段から振り下ろす。

伊東が刀でそれを受けると、
金属のぶつかり合う鋭い音がして火花が散った。
 
おれは衝撃を利用して後ろに飛びのくと、
伊東の手元めがけて刀を払った。

確かな肉を斬る感触と共に伊東の手首から血が噴き出す。

はあはあと荒い息遣いが聞こえる。
心の蔵が激しく鼓動する音もおれの耳にはよく聞こえた。

痛いほどに思考を巡らせて
おれの動きを読もうとしているさまも手にとるようにわかる。

浅はかなことだ。
 
おれは血を流しながらも刀を放さない
伊東の手元めがけて再び攻撃をした。

爪で獲物をえぐるように突き出された刀は、
ついに伊東の手から刀を落とさせた。
 
そのままがら空きの上半身を袈裟斬りにした。

伊東は声もなく倒れ、
ゆっくりと鼓動の音が途絶えていくのをおれは聞いた。