「うん、よく似合うよ。
 なんて娘さんが言われても嬉しくはないよね。」
 
沖田は無邪気に白い歯を見せて笑ったが、
マオリの様子に真顔になった。

「大丈夫かい?顔が青い。」
 
沖田が一歩近づくと、
マオリは離れようとしてよろめいた。

「大丈夫です・・・。」
 
しかし、そこでマオリの糸はぷつりと切れた。

膝からがっくりと力が抜け崩れ落ちた。
頭を打つすんでのところで沖田に抱えられ、そのまま意識を失った。
 
目を閉じても赤。

息をすれば血のにおい。

おれに体を預けたままでいればよかったものを、
マオリは縮れ毛の男によほど揺り動かされたものと見える。
 
結局、山崎の使っている隠れ家の一つで二日間マオリは眠り、
新撰組に合流したのは三日後のことだった。