神社は山を少し上ったところにあった。

人気のない森が続く。
森に入るとマオリは少し息が整ったようだ。
 
ざくざくと冷えた枝を踏みしめながら、
赤く朽ちた鳥居をくぐる。

うっすらと雪が積もっている。
おれとマオリが出会った神社に少し似ている。
 
石畳を進むと、社の影から沖田総司が現れた。

「ご苦労さま。」
 
マオリは沖田を見た。
地味な茶の着物を着ている。

「随分派手にやったんだね。」
 
以前、沖田と会った時には返り血は浴びていなかった。
今のマオリは白い着物の面影もないほどに
どす黒い血を全身に浴びている。

「怪我はない?」
 
沖田は近づいてマオリに手を差し伸べた。
マオリはその手を拒むようにうつむいた。

「さあ、これに着替えて。
 血のついた着物は私が持ち帰って処分することになっているから。」
 
沖田は持っていた風呂敷を開いた。
 
渡されたのは男物の着物だった。