フクロウの声

「栄治ぃ、栄治ぃぃぃ。」

子供を失った母親のように、マオリは栄治を失った悲しみを嘆いた。

父はどこかに栄治の骸を捨てて戻ってきた。

そして、神隠しにあったことを村にふれてまわった。

マオリの悲しみが癒える前に、
二つめの悲劇がマオリを襲った。

弟は神隠しにあったと村の人々に言い、
村人を総動員した山狩りも行われたが、
奇病で死んだ弟が見つかるわけもなかった。

マオリは憔悴しきっていて、
村の女たちが次々にマオリを励ましに訪れた。

マオリは力なく笑ってみせる程度で、
女たちが帰るとまた泣いていた。


父が嘔吐したのは、
運の悪いことに村の寄り合いの最中だった。

かたちばかりの粗末な囲炉裏を囲んだ村の男たちの目の前で、
父は嘔吐した。

村の男たちの視線を受けたまま、
父は口元を手で押さえて立ち上がり、
外に出ようとすると、戸に手をかけたところで下痢をした。

「おい・・・っ。」

村の男たちは立ち上がって、
吐瀉物で手を汚した父へ疑いの視線を向けた。

「違えんだ・・・。」

吐瀉物のついた手のひらを父は男たちに向け、否定した。
座り込んだ父の尻から流れる汁状の便が広がっていく。
父の瞳がぶるぶると震えた。