背中におれの太刀を浴びながらも、
縮れの男は床の間の刀を掴んだ。

おれが振り上げた一撃は低い天井の梁に当たり、
威力が弱まった。

一瞬遅くなったため、
縮れ毛の男は鞘のまま受け止める。

「おおおおっ。」
 
マオリは声をあげ、力を込めた。

ぎゃりぎゃりと鞘は削られ、
そのまま力で押し切って男の前頭部を深く薙ぎ払った。
 
床の間の掛け軸に男の頭部から飛び散った肉がぶしゃりとかかった。

見開いた目に、死神を映したまま仰向けに倒れた。
 
まだかすかに生きている。

おれは男たちの肉体から魂を解放してやろうと、
両手で刀を握りなおし、頭上で構えた。

「お・・・まんは・・・。」
 
死にかけた縮れ毛の男が、途切れ途切れの言葉を口にした。
その声に完全におれに体を委ねていたマオリが反応した。

「白い・・・辻斬りち、おまんじゃろ・・・。」

「それがどうした。もう喋るな。
 苦しいだろう。」
 
そう答えたのはおれでなくマオリだった。