「おまんは誰だ。」
 
もう一人の男が暗闇であらぬ方向に向かって叫んだ。

縮れた髪を強引寄せて結わえている。
武士のようだが、どてらを羽織った姿は間が抜けている。
 
おれは身を返して、刀を縮れ毛の男の首もとめがけて斬り払った。

「うっ。」
 
おれの刀は男の額を捉えたが、
男はおれの気配に感づいて一瞬早く後ろに飛びのいたため、
絶命にはいたらなかった。
 
縮れ毛の男は額を押さえながら、
背後の床の間にある刀を取ろうと半身をひねる。
 
おれに背中を見せるとは・・・。

おれの内側から湧き上がる悦びが、マオリに不気味な笑みを浮かばせる。
 
縮れ毛の男の右の肩先から袈裟斬りに刀を振り下ろす。
骨に刃が当たる感触がごつごつと伝わる。
 
次が止めだ。