「ほえたな！」
　
二階から声がした。

その声の方向でおれは、
標的の人物の居場所を正確に把握することができた。

男の声を聞いて二階の気配が動いた。

おれはは刀を抜いたまま音もなく階段を飛ぶように駆け上がって、
目的の部屋の扉を勢いよく開けた。
　
おれが襖を開けるとほぼ同時に、
部屋の中の灯りが消された。

それは標的の人間どもにとって不運としか言いようがない。

おれは暗闇のほうがむしろよく見える。

一方、人間どもは目が暗闇に慣れるのに時間がかかる。
その頃には死んでいる。
　
部屋の中には二人の男がいた。

すかさず近くにいた男に斬りかかる。
エラのはった眉の太い男である。
　
男は持っていた短刀を鞘から抜き、
おれの懐めがけて飛び込もうと足を立てた。

おれはすかさず刀で足を払い、肉が斬れる感触を得た。
　
うめきながら男が短刀を握り締め、
よろよろと立ち上がろうとする。

おれはさらに胸元めがけて突き、刀を抜くと同時に鮮血が散った。