冷たい夜風にマオリは着物の胸元を合わせた。
いつも通りの白い着物に袖を通し、
髪を結い上げた。その重さにもすっかり慣れてしまった刀を腰に差す。
わらじの緩みを直して縁側から外に出た。
ちらちらと小雪が舞っている。
裏口に向かうマオリを、おかみが見送っている視線を感じた。
おれはマオリの肩から飛び立って、有松の上空を低く旋回した。
マオリは振り返らずに裏口をくぐる。
おかみが目を腫らした顔を覆う。
おれは、ホウホウと啼いた。
人目のないことを確かめて、
マオリは音もなく雪の舞う夜道を駆け出した。
白い雪の中を、白い着物に身を包んだマオリの肩めがけて、
おれは滑空し戻った。
いつも通りの白い着物に袖を通し、
髪を結い上げた。その重さにもすっかり慣れてしまった刀を腰に差す。
わらじの緩みを直して縁側から外に出た。
ちらちらと小雪が舞っている。
裏口に向かうマオリを、おかみが見送っている視線を感じた。
おれはマオリの肩から飛び立って、有松の上空を低く旋回した。
マオリは振り返らずに裏口をくぐる。
おかみが目を腫らした顔を覆う。
おれは、ホウホウと啼いた。
人目のないことを確かめて、
マオリは音もなく雪の舞う夜道を駆け出した。
白い雪の中を、白い着物に身を包んだマオリの肩めがけて、
おれは滑空し戻った。

