フクロウの声

「栄治をどこに連れて行くだ。」

泣きつかれて枯れてしまった声を振り絞って、
マオリは父を見上げた。

「栄治はもう、死んだんだ。」

マオリは父の足にしがみついた。

「返して、栄治を返して・・・。」

泣きじゃくるマオリに釣られて、上の弟も声をあげて泣き始めた。

「静かにしろ!村のもんに気づかれるでねか!」

父はしがみつくマオリを蹴り上げた。

「そだなこと言ったって、おとうは栄治をどうする気だ。」

蹴られた土間の土を爪に食い込ませ、
マオリは、きっと父を見上げてにらんだ。

「栄治は裏山で、神隠しにあったことにする。」

父は静かに言ったが、マオリと目をあわせようとはしない。

「できるわけねえ!」

マオリは立ち上がって、父の腕から弟の亡骸を奪い取ろうとした。
上の弟は声をあげて泣き喚いている。

「マオリ、堪えろ、堪えてけろ。」

祖母は父にしがみつくマオリを後ろから羽交い絞めにする。
一晩中、弟の傍らにいて
泣きに泣き腫らしたマオリは、力なく崩れ落ちた。

「マオリ、すまねえ。」

父はマオリを一瞥し、弟を道具のようにこもに包むと出て行った。
父の足音が聞こえなくなると、
マオリは土間に突っ伏して泣いた。