セイクリッド

「…‘マリアちゃんに返す’」

「え?」

「これ、もともとお前の?」

「…し…知らないよ。はじめて見た」



箱の裏側に書かれた小さな文字は、確かに海原さんの文字だったけど、内容はまったく覚えが無い。



「…また、謎が増えた」


呟きながら、アンクレットを握り締めた。



海原さんが託してくれた……最後のものと、言葉。



いったいどんな意味があるのかもわからないまま、悲しみだけが心を支配しつつあった。