セイクリッド

「マリアちゃんそれ…」

「え?」

「……」


海原さんのほうに視線を戻すと、見られていたのは『Sacred places』。


そうか、海原さんはこの本を良く知ってる。


「覚えてます?私がいつも持ってた本……今もこの通り…手放せずにいるんだ」

「………」

「海原さん?」

「喉、渇いてないかい?」


急な話の展開に、首を傾げる。



「え?別に喉は……」

「遠慮はいらないから…そうだ大介くん。悪いけど、そこの財布を持って売店まで行ってくれるかい?」