セイクリッド

「家から遠くなかったかい?交通費…大丈夫かい?」


いらない心配まではじめた海原さん。
これじゃ、お見舞いにきた感覚がなくなっちゃう。



「そんな心配いらないよ。大介も私も、今はバイトできる年齢なんだから」

「そうか…けど、困ったらいつでもホームに来ればいいんだよ。今は私はいないけれど」


寂しそうな笑み。
ちょっとの間黙っていた大介が、もう一度問いかける。



「どうして入院してるんです?」

「…少し、調子が悪いんだ」


くしゃっと笑う海原さんは、なんだか都合が悪そうに私の荷物に目を向けた。