セイクリッド

「いいよ。俺達は悲しいことに、もともとそのぐらいの存在だから」



その手をとると、男は陽だまりのような笑みを浮かべて、私の手を握りなおした。



ぎゅっと、優しく……そして、確かに。



「ところで、キミの名前をきいてもいい?」

「あ、私は……マリア。海原マリア」

「マリア……異教の女神の名前だ。いい名前だね」

「ありがとう」

「俺は、アマ――…いや、俺はミコト。ただのミコトだよ。よろしく…マリア」



微笑みにつられる様に、私も笑みを返した。