さわさわっと、空気が流れていく…心地のよい音がした。 それだけならば、ここが‘知らない国’ってことを感じられない。 この状況を夢だとしか思えない。 「信じて」 「……」 …もしも私がまともだったら、絶対信じたりしないだろうし、再び差し出された手を決して握ったりはしない。 けれど、 「…半分でいい?」 「え?」 「信用するの、半分だけでいい?」 私は、まともじゃないし……妄想の激しい変人だ。