セイクリッド

人の気配がまったくしない。


近くに自分以外の人間は、たぶん存在してないと思う。


大介がいていいはずなのに、そこには誰もいない。





なんていうか……こんなことを言うと、笑われちゃうかもしれないけど、‘タイムスリップ’って言葉が、今の自分に一番しっくり来る。



そうじゃなければ、‘狸に化かされた’とか、‘狐につままれた’とか、そんな感じ?



とにかく、容易く表せない状況だった。


思わず自分の頬っぺたをぎゅっとつねってしまうほど、あり得ない状況だった。