なんて、悲しい目……。
小さい頃に読んでもらったお話やお化け屋敷の中でしか見たことがない様なものが、今目の前にいる事が理解できなかったのと同時に、私は今ここで死ぬんだと思った瞬間。
「伏せろ!!!」
不意に後ろから聞こえてきた声に、私は持っていた荷物を地面に落としてしまい、ペタンと座り込んでしまった。
そして一瞬にして私の前に現れた後ろ姿に、私は何故か懐かしさを感じてしまったんだ。
夕日に照らされ、きらきらとした橙の髪。
『ほうずきみたいなきれいないろね!』
昔、彼に言った言葉が頭によぎる。
まさか、そんな……都合がよすぎると何度も思ってはみたんだけどさ。
「大丈夫か、藍?」


